閉鎖空間①

過去のことは話さない。話したくない。思い出したくない。思い出せるようなところにしまってはいない。 そんなことは調べればすぐにわかる。ならばわざわざ不幸自慢をするように、話すべきことではないだろう。話したところで何がわかる。わかった気になって…

病院②

そうそう。真っ暗になって、あまり何があったかは覚えていないわ。そうね、でも夢の中でお母さんが大事なことは教えてくれた。きっと夢でなくても教えてくれていたのでしょうね。お勉強は教えてくれなかったけど、活きる上で当たり前のことなんかは、しっか…

病院①

お母さんとマトモな会話をしたこと。友夜の顔を見たこと。最後の28分前が、私の記憶に残っている出来事だった。私とお母さんは出掛けると言い、友夜とお父さんに声を掛けた。誰からの返事はなかったが、ただ一つ、水を叩き浴槽を蹴る音が、廊下の奥にあるお…

保護施設④

恢と会ってから半年が経った。桜が咲き小学生が増えた。それと変わらず、恢の部屋の死体が増えた。俺が殺したヒトの数も増えた。さすがに不自然すぎるなと思ったが、いずれバレるのなら。100人殺せば英雄と。なら、やりたいだけやればいい。恢から聞いた言葉…

保護施設③

俺と紫苑がタッグを組み、殺しては集めてを繰り返してから半年。もう桜が咲き始め、小学校に行くガキが増えた。相変わらず紫苑は気に入らないヤツや、何となく目に入ったヤツを殺してはその死体を俺に投げて寄越す。俺からすれば、探さずともほしいモノが手…

保護施設②

紫苑と初めて会った夜はとても涼しかった。もう10月に入り、施設の廊下を裸足で歩くには冷たすぎるくらいだった。保護施設に入って3日目の夜。ナニカないかとナニカを探し回る夜。皆眠っている。そりゃあ2時をとうにすぎて、虫の声さえしない夜更けだ。 静か…

保護施設①

あいつと初めて会ったのは、俺が施設に入れられてから1ヶ月くらい経った日だったと思う。すっかりナニカを殺すのがクセになってた。その時は同室の、腹の立つ喋り方をする威張ってばかりの女の子を殺して、引き摺り歩いた夜だった。どこに捨てようか、それと…